自治体連合や参加自治体の活動をより分かりやすく伝えるため、ネットメディアであるYahoo!ニュースと連携し、参加自治体の首長等によるふるさと納税の取組みに関するリレーインタビュー等を実施し、全国に配信します。第一段として、共同代表である福井県知事のインタビューを行いました。
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テーマ 「ふるさと納税のさらなる発展に向けて」
概 要 (1)広辞苑にも掲載された「ふるさと納税」
平成18年10月の日本経済新聞「経済教室」に「『ふるさと寄付金控除』導入を」
という論説を載せたところ、各界の反響を呼んだ。その後総務省で研究会が設置され、
平成20年度に制度化された。
本年1月に10年ぶりに改訂された岩波書店の広辞苑(第7版)に、「ふるさと納税」
の項目が追加された。本県が提唱し、新たな税制として創設された本制度が、広く国民
に認知され、世の中に定着した何よりの証。
(2)地方と都市のアンバランスを税制で是正
ふるさと納税は、都市と地方の間にある様々な課題を解決する手段として提唱。その
ねらいは大きく3つ。
①ライフサイクル・バランス税制
②納税者主権の促進
③自治体政策の競争と向上
(3)東京は「損している」ということではない
東京に大学や企業が過度に集中し、ヒト、モノ、カネが自然に集まる仕組みになって
いることが問題の根本。大都市は、多くの人口が地方から流入し、毎年「人口のボーナ
ス」を受けているようなもの。
例えば東京23区は毎年約6万人の流入超過であり、そのまま定着すると想定した場
合、福井県の試算では、年間の受益額は約1兆6,800億円に上り、これが毎年続く。
一方、寄付金控除により税収が減少することと、地方の自治体の返礼品による寄付金
の集め方を結び付けて感情的な議論が行われているが、そもそもふるさと納税は、都市
から地方への税源移譲を目的とした制度であり、寄付金控除による税収の減少は、制度
上、当然の結果。
人口のボーナスに比べれば、寄付金控除による税収の減少は、まだまだ小さい。大都
市は、ふるさと納税で「損をしている」という発想から、そのボーナスを少しでも地方
に還流させていくことに意識を向けていくべき。
(4)国の法規制の動き「残念」自治体も「節度を」
ふるさと納税は寄付税制であり、返礼品の問題は、本来、制度の外にある事柄。
寄付を受けた自治体が、地域の特産品を知らせたいという気持ちも大事なことであ
り、返礼そのものに問題があるわけではない。
国の法規制の動きは残念だが、地方側にも一定の節度は必要。
(5)自治体連合設立で「本来の趣旨」を広める
ふるさと納税」の意義を再認識し、自治体同士が学び合い、その意義を広く国民に伝
え、利用者のすそ野を広げる国民運動を起こすための活動を開始したいと考えた。
原点に立ち返り、制度本来の理念・趣旨を広めようとするネットワークづくりである。
平成28年の半ばから、全国各地の自治体に呼びかけ、設立発起人として27の県、市、
町が集い、平成29年5月に自治体連合を設立。
設立後、全国の自治体に連合への参加を呼びかけたところ、多くの自治体にご賛同い
ただき、現在74自治体が参加。北は北海道から南は鹿児島県まで広く参加している。
(6)納税者の1割が利用するくらい根付かせたい
納税義務者の10%以上の方が利用するくらいまで普及すれば、制度として定着し
たと言える。利用者がその程度になれば、現在4,000億円規模の寄付額も1兆円近くに
なる。
今後、利用拡大のために必要なことを3つ提案したい。
①プロジェクト応援型寄付
②チャレンジ人材の活躍応援
③人の移動につながる仕組み