自治体連合や参加自治体の活動をより分かりやすく伝えるため、ネットメディアであるYahoo!ニュースと連携し、参加自治体の首長等によるふるさと納税の取組みに関するリレーインタビュー等を実施し、全国に配信します。第3段として、共同代表である北海道上士幌町長のインタビューを行いました。
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テーマ 「独自政策の財源に」ふるさと納税で人口減止めた酪農の町 上士幌町・竹中町長
概 要 (1) 農業と畜産の町、半世紀減り続けた人口が増えた
北海道の十勝地方にある上士幌町。人口約5000人の小さな町。町面積約696平
方キロで、その約76%を森林が占める農業と畜産の町。
「半世紀にわたって減り続けた町の人口が、この4年間増え続けている。奇跡的なこ
とが起きている」と竹中町長は胸を張った。
(2)子育て・教育に特化、安定財源へ条例化も
竹中町長は「なぜ人口が流出していくのか。なぜ転勤で来る人が単身で来るのか」と
考えたときに「安心して子育てや教育が受けられる環境があるかということ。そのこと
によって若い人が町に来てくれる」のだと思いに至った。
ふるさと納税を財源に、子育て・教育に特化した人口減少への取り組みがスタートし
た。 まずは子育てに関わる財政的な負担軽減に取り組んだ。2016年4月から認定こ
ども園の利用料を完全無償化したほか、医療費を高校生まで無料した。とりわけこだわっ
たのが教育の「質」。負担軽減として、教育の質と内容を高めることにも取り組んだ。
しかし、教育政策に成果が出るのに時間がかかり、継続的に実施する必要があることか
ら、条例で「ふるさと納税・子育て少子化対策夢基金」を設置。
(3)移住政策にも注力、高齢化率が下がる
移住政策にも力を入れている。本格的な移住の前に、試験的に短期間住んでみる「お試
し住宅」を整備して、1か月から最長1年まで移住体験できる制度を設けた。
実際に207年から10年間で75組150人が移住したという実績がある。2016
年の町の人口動態をみると、社会増は転入296人に対し転出224人で72人増えた。
高齢化率も2017年4月の35.00%から翌年4月には34.62と%と下がり、上昇
に歯止めがかかっている。
(4)寄付してくれた12万人を町のプレーヤーに
ふるさと納税を通した地方と都市部の住民との交流も重視する。「関係人口」という言
葉があるが、私はかねてからそういう人たちを「応援人口」というふうに思って仕事をし
ている。
直接の町のプレーヤー(定住人口)は5000人だが、12万人が“スタンド”で上士幌
を応援してくれている。そういう人たちとの縁が深まって「上士幌のプレーヤーになりた
いよ」と、移住や定住、一時居住でもいいので、そういう思いが深まってくれることを期
待したい。
(5)小さな自治体が実験的な取り組みに使える財源
「新しい政策にチャレンジするのも、ふるさと納税だからできる」竹中町長はこう強調
する。現在、将来的な地方の交通問題を見据え、ふるさと納税の寄付項目に、自動運転バ
スの購入や運行の実現に向けた取り組みを加えている。
「人が動くことで経済は回る。将来に向けた課題への取り組みは、小さい自治体であれ
ば実験的にできる」と語った。